冷房の効きすぎの状態にさらされ、外気との温度差が5度以上のところに頻繁に移動するなどして自律神経の失調をきたし、体の調子を崩してしまうのが、冷房病(クーラー病)といわれるものです。
一般的に職場や学校、それに通勤通学の電車の中などでは、冷房を寒く感じていても自分の好みの温度に冷房の設定を変えることができずに、我慢を強いられる場面が多くなりがちです。
こうした状態から冷房病となり、頭痛につながるケースが多いといわれます。
ここでは、冷房病で後頭部が頭痛になることはあるのか、また頭痛が出た時の治し方や、頭痛の対策について、紹介します。
冷房病で後頭部に頭痛は出る?
冷房病で後頭部に頭痛が起きることは、あるのでしょうか?
冷房病の症状の一つとして、頭痛が挙げられています。
そういった意味では、冷房病の頭痛が後頭部に出ている状態、ということで説明はついてしまいます。
ここでは、より深く、頭痛の起きる流れを見ていきましょう。
頭痛には種類がありますが、その中でも(筋)緊張型の頭痛といって、筋肉の緊張からくる頭痛があります。
筋緊張型頭痛でいうところの「筋(肉)」とは、具体的には首の後ろ側の筋肉や、首と肩の交差するあたりの筋肉、肩甲骨周りの筋肉といった広い範囲をおおう筋肉です。
こうした筋肉が凝る理由としては、冷房病の元となる寒冷刺激や、精神的なストレス、猫背などの良くない姿勢、またその姿勢の長時間の持続、そして目の疲れ(眼精疲労)、といったことが挙げられます。
この全ての条件をほぼ満たしてしまうのが、一例を挙げれば、長時間に及ぶデスクワークの姿勢です。
学生さんの勉強の時の姿勢も、同様に考えられますね。
デスクワークの時間が長ければ長いほど、先ほど挙げた筋肉の緊張が血流の低下を招き、疲労物質や老廃物、そして痛みを引き起こす物質の蓄積につながります。
痛みを引き起こす元となる場所を、trigger point(トリガーポイント)と言います。
後頭部に頭痛を生じさせるのは、頚半棘筋や僧帽筋上部にできるトリガーポイントです。
後頭部だけではなく、目の奥に痛みが出るようならば、頚板状筋や後頭下筋群にトリガーポイントがあることが多いです。
少し難しい専門の用語が出てきましたが、要は首や肩、そして背中の上の方の筋肉に強いコリができると、後頭部や目の奥に痛みが出てくることになるわけです。
冷房の効き過ぎたオフィスや教室で、長時間のデスクワークの姿勢が続けば、頭痛や後頭部の痛みが出やすくなるのです。
こうして見てきますと、単に冷房病から後頭部の頭痛が出るというよりも、冷房病になるような状況のもとで、筋硬結やトリガーポイントが生じることによって、後頭部の痛みも出やすくなる、ということができます。
冷房病による頭痛の治し方は?
上記のように、頭や首、肩、背中が冷え過ぎて冷房病となっている中で出ている頭痛は、まずは冷房病をそれ以上進めないようにすることが大切です。
自律神経のバランスを崩す原因となっている、外気温と室温の差をなるべく小さく保ちましょう。
クーラーの効かせ過ぎが温度差のできる原因ですから、あまり設定温度を低くし過ぎないことです。
エアコンの設定温度は、1番の猛暑時でもできれば26度くらいにとどめたいところです。
冷房病による頭痛が出ているときには、上記のようにトリガーポイントからの関連痛という可能性もあります。
筋緊張型頭痛ですから、その痛みの元となっている筋肉をほぐすことで、頭痛が改善することが期待できます。
その筋肉とは、上で説明しましたように首や肩、背中の上部、肩甲骨周りの筋肉です。
これらの筋肉をほぐして緩めてあげること、そして毎日ゆっくり入浴して、その日ぶんの疲れやコリを解放してあげることが、頭痛が出ている場合の一つの対処法となります。
冷房病による頭痛の対策は?
冷房病の起きる流れと治し方がわかったら、今度はそれを元に冷房病対策をとりましょう。
以下のような、各シチュエーションでの対策を紹介します。
職場や学校で
基本的に、職場や学校では冷房自体は自由にスイッチオフとか温度を上げるとかは難しいことが多いですよね。
自分で自分を守るという対策が中心となります。
□衣服を重ね着するなどして対応する
定番的ですが、サマーカーディガンやジャージ素材のジャケットなど、職場のTPO似合う範囲内で、重ね着対応して体が冷えないようにしましょう。
□膝掛けや、ソックスを利用する
足元からくる冷えを防止します。
□ストールやマフラーを利用する
夏の間はマフラーは難しいかもしれませんが、リネン製やコットン製のストールを使うことで、首すじからの冷えを防止します。
□使い捨てカイロを利用する
首や肩に直接貼るのではなく、肌着の上から貼るようにします(低温やけどにご注意)。
ちなみに、おへその下あたりの下腹部に貼るのもおすすめです。
この時も肌着の上から貼り、低温やけどには十分注意しましょう。
□冷たい飲み物を控えめにする
おすすめは、ホットの紅茶+黒糖+生姜の組み合わせです。3つとも、体を芯から温めてくれますよ。
ステンレスのマグなど、保温の効く容器に入れて持って行くと良いでしょう。
□冷房の吹き出し口近くには座らないようにする
冷房の風は直接当たると体にこたえますね。
吹き出し口近くの席だったら、学校や職場で席の見直しを一度提案、相談してみましょう。
□可能なら、休憩時間の都度、外気に触れるようにする
ずっと冷房の風に当たるのが良くないので、出られれば外の空気を吸いに出てみましょう。
ただし、内部と気温差の大きすぎる外部に、あまり長く出ているのも良くありません。
外に出たついでに、ラジオ体操的なストレッチを行うのもおすすめです。
自宅で
□冷房の設定温度を上げる
学校や職場とは異なり、これは可能なはずです。
設定温度を26、27度にして、実際の室温が28度くらいがおすすめです。
もしも夫婦間で冷房の設定温度の好みに違いがあり、どちらかが冷えすぎるのならば、寝室をその時期だけ分けるというのも一つの手ではあります。
□じっくり入浴する
首すじまで最初から浸かってみましょう。湯温はぬるめの温度がおすすめです。
我慢できないくらいまで浸かったら、そこでみぞおちくらいまで上半身を出して、半身浴に切り替えます。
防水対策をしたオーディオを持ち込むなどして、ある程度の時間湯に浸かっていられるように工夫してみましょう。
□首や肩のストレッチを行う
首や肩のストレッチを、お風呂から上がってから行いましょう。
ストレッチのコツは、ぐいぐい力任せに伸ばすのではなく、あくまで気持ち良いと感じるレベルで伸ばしていくことです。
□テレビやスマホ、PCを見過ぎない
眼精の疲労は、後頭部から首すじにかけての筋肉を硬くする原因となります。
□就寝時に首や肩を露出しない
寝苦しい夏の夜でも、首や肩を露出したままエアコンの冷気に触れていると、首や肩のコリをもっと助長してしまいます。
襟のあるパジャマを着たり、エアコンの冷気が直接身体に当たらないようにしましょう。
筋肉の専門家にみてもらう
硬く強張った筋肉は、「筋硬結」といって、なかなかストレッチを自分でしただけではほぐれません。
プロの力を借りて、この筋硬結やトリガーポイントを解除してもらうのは、効率の良い方法の一つと言えます。
□鍼灸師、整体師、カイロプラクター
おすすめは、上でも説明したようにレベルの高い筋硬結である「トリガーポイント」に精通しているプロに、筋肉の硬いところを緩めてもらうことです。
その上で自分でも自宅でできるストレッチ法も、ちゃんと教えてもらえるような先生を選ぶと良いでしょう。
まとめ
冷房病で後頭部に頭痛は出るのか、また、冷房病で頭痛が出た時の治し方とその対策を紹介しました。
エアコンは確かに快適な環境を提供してくれますが、冷房の効き過ぎは自律神経のバランスを崩しやすくしたり、筋肉を硬くして筋硬結やtrigger pointの産生につながるので、注意が必要です。
この夏もエアコンを上手に使って、冷房病関連の頭痛などない快適な生活を送りましょう♪
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